わたらせ渓谷鐵道株式会社


車両紹介

わ89形310番台

1990年(平成2年)に登場した通勤通学用車両で、1990年に311〜313号の3両が、1993年(平成5年)に314号・315号の2両が製造されました。 富士重工製の三セク向け軽快気動車LE-DCで、製造コストを下げるためにドアやクーラーなどにバス用部品を多用していることから、通称「レールバス」とも呼ばれています。 1989年(平成元年)の開業時に登場したわ89形300番台イベント車の通勤型バージョンで、車内は300番台がオール転換クロスシートだったのに対し、310番台は出入口付近をロングシートにしたセミクロスシート配置になっています。 乗降用の扉は折り戸で、左右に2箇所ずつあります。 新製時からトイレ付き(和式)で登場しています。
車体色は300番台と同様のあかがね色1色で、正面貫通扉に1両ずつ異なる愛称板が付いているのが特徴です。
登場から約30年が経過し、老朽化のため後述のWKT-500形シリーズへの置き換えが進んでいます。 すでに311号・312号・315号はなく、残すは313号・314号の2両のみとなっています。

313号 「わたらせⅡ」
313号 「わたらせⅡ」
314号 「あかがねⅢ」
314号 「あかがねⅢ」
315号 「わたらせⅢ」+314号の2両編成
315号 「わたらせⅢ」+314号の2両編成
313号の車内 314号も同仕様
313号の車内 314号も同仕様
わ89形310番台の和式便所
わ89形310番台の和式便所
神戸駅で行き交う314号(左)と313号(右)
神戸駅で行き交う314号(左)と313号(右)

WKT-500形

2011年(平成23年)、わたらせ渓谷鐵道に17年ぶりに登場した通勤通学用の新型車両です。 新潟トランシス製の三セク向け軽快気動車NDCで、車内はオールロングシート、トイレはありません。 車端部に車いすスペースを設けています。客室の窓は一部を除き固定式で、冷暖房は完備しています。 乗降用の扉は引戸式に変更され、左右に2箇所ずつあります。
車体色は、伝統のあかがね色を残しつつ、窓周りにアイボリー配したツートンカラーとし、窓下部にゴールドのラインを巻いています。
501号・502号の2両が在籍しています。 501号のみ貫通幌が外吊り式の全幌、スカート(排障器)が小型、車内ドア脇のブザーボタンがないなど、他のWKTシリーズと仕様が異なる箇所があり、先行試作車的な色合いが強くなっています。

貫通幌とスカートに特徴のある501号
貫通幌とスカートに特徴のある501号
502号+501号の2両編成
502号+501号の2両編成
501号の車内 502号も同様
501号の車内 502号も同様

WKT-510形

2013年(平成25年)に登場した通勤通学用車両です。 基本設計はWKT-500形に準じ、車内の座席配置をセミクロスシートに変更しています。 トイレはありません。
511号・512号の2両が在籍しています。 WKTシリーズは、「トロッコわっしー号」のWKT-550形を含めてすべて連結が可能です。 511号は専ら「トロッコわっしー号」に連結して使用するため、車体色を「トロッコわっしー号」に合わせたものに変更していますが、「トロッコわっしー号」が1両での運行となる冬期や、「トロッコわっしー号」の走らない日は、511号を普通列車に使用することもあります。

公式試運転を行う511号
公式試運転を行う511号
公式試運転を行う512号
公式試運転を行う512号
511号の車内 512号も同様
511号の車内 512号も同様

WKT-520形

2019年(平成31年)に登場した通勤通学用車両です。 基本設計はWKT-500形に準じていて、車内の座席配置をオールクロスシートに変更しています。 また、お客様の要望を受けて、「トロッコわっしー号」以外のWKTシリーズでは初めてトイレ(車いす対応の洋式)を設置しています。
521号・522号の2両が在籍しています。 車体色は、WKT-500形と同じあかがね色とアイボリーのツートンです。

公式試運転を行う521号
公式試運転を行う521号
公式試運転を行う522号
公式試運転を行う522号
521号の車内 522号も同様
521号の車内 522号も同様
WKT-520形のトイレ
WKT-520形のトイレ

WKT-550形

2012年(平成24年)に登場した窓ガラスのないトロッコ車両です。 「トロッコわっしー号」の愛称で2012年4月1日から運行しています。 551号1両だけの在籍ですが、基本設計はWKT-500形に準じているため、春〜秋は桐生寄りにWKT-510形を連結して2両編成で運行します。 トロッコ列車なので、冷房装置はありません。 また、客席の窓ガラスは脱着可能なので、冬期はガラスを取り付けて運行します。 乗降用の扉は間藤寄りにしかありません。
観光用車両のため、客席はオールクロスシート、木製の座席に大型のテーブルを備え、車いすスペースのほか、車いす対応の洋式トイレと車内販売用の売店スペースも設けています。 窓上には、キャラクターのイラストが浮かび上がるイルミネーションパネルを取り付けています。
車体色はあかがね色をベースに、窓周りはキャラクターの「わ鐵のわっしー」をイメージさせる赤と黄色に塗分け、観光列車らしい鮮やかなカラーリングになっています。

2両編成で運行中の「トロッコわっしー号」
2両編成で運行中の「トロッコわっしー号」
551号の外観(ガラス付きの状態)
551号の外観(ガラス付きの状態)
551号の車内
551号の車内
551号の売店
551号の売店
551号の模擬運転台
551号の模擬運転台
551号のトイレ
551号のトイレ

DE10形

「トロッコわたらせ渓谷号」の客車(わ99形)には動力がなく、エンジンのついた機関車で牽引する必要があります。 DE10形ディーゼル機関車は、そのための車両です。 機関車はエンジンと運転室のみで構成されていて、お客様は乗車できません。 1998年(平成10年)、「渓谷号」の運行開始時にJR東日本から購入したのがDE10-1537号機で、その後、2000年(平成12年)にDE10-1678号機も購入し、現在は2両が在籍しています。 DE10形はJRの前身である国鉄時代に作られた古い機関車で、現在ではJRでも数が減少しており注目されています。 特に1678号機は国鉄時代の塗装のままで、鉄道ファンに人気があります。 1537号機は客車に合わせたあかがね色とゴールドの塗装です。
DE10形は、運転室が車両の前後ではなく車体中央にある凸型構造で、動輪は前に3軸、後ろに2軸の計5軸、運転室の位置は完全な中央ではなく、やや後方に寄った「セミ・センターキャブ」と呼ばれる前後非対称の構造なのが特徴です。
出力は1,350馬力で、国鉄足尾線時代は重たい貨物列車を重連で牽くこともありましたが、現在、客車4両の「渓谷号」は原則1両で牽引します。 1両でも強力なので、「渓谷号」の牽引のほかに、除雪のための排雪列車や故障車の救援などにも使用することもあります。

1537号機
1537号機
1678号機
1678号機
水沼駅で並ぶ1537号機(左)と1678号機
水沼駅で並ぶ1537号機(左)と1678号機
1678号機(左)と1537号機 大間々構内にて
1678号機(左)と1537号機 大間々構内にて
1537号機の運転室内
1537号機の運転室内
重連で試運転中の1537号機(右)と1678号機
重連で試運転中の1537号機(右)と1678号機

わ99形

1998年(平成10年)10月10日に運転を開始した「トロッコわたらせ渓谷号」用の客車です。 走行用の動力を持たないため、DE10形ディーゼル機関車に牽引されて走ります。 間藤寄りから「わ99-5010」「わ99-5020」「わ99-5070」「わ99-5080」の4両固定編成で、検査時以外は切り離しません。
5010号・5080号はガラス付きの普通車両で、種車はJRの12系客車(スハフ12形)です。 5020号・5070号は窓ガラスのないトロッコ車両で、京王電鉄の初代5000系電車を改造して製作されました。 5010号・5080号の改造は貫通幌と車体の塗装変更程度ですが、トロッコ車両の5020号・5070号は窓ガラスやドア・座席・冷房装置などを撤去し木製の座席を設置、さらに電車→動力のない客車へ改造するためモーターなどの電装品もすべて撤去するという大規模な工事を経て誕生したため、種車の面影はほとんどありません。 車体色はあかがね色をベースに、側面腰板部にゴールドラインの装飾が入った落ち着いたデザインです。
5010号・5080号は窓ガラス付きの普通客車で、冷暖房付きです。 車内はオールクロスシート、乗降用のドアは折り戸式で片側2箇です。 扉幅が狭くステップもあるため、車いすには対応していません。 車端部に放送やドア開閉を行うための車掌室があり、反対側の車端部には和式トイレと洗面所が設けられています(ただし、5010号のトイレと洗面所は使用停止)。 5080号は床下にディーゼルエンジンを装備していますが、これは走行用ではなく、発電機を回して発生した電力を客車の照明や空調などに供給しています。
5020号・5070号は窓ガラスのないトロッコ客車で、窓枠も大きく開放的です。冷暖房はありません。 「わっしー号」とは異なり、窓にガラスを取り付けることはできないため、冬期は運行しません。 車内には木製のクロスシートと大型テーブルが並び、天井にはLEDによるイルミネーションが点灯します。 車端部までいっぱいに座席を設置しているため乗降用のドアがありません。乗り降りは隣の車両のドアから行います。 また、5070号の桐生寄りに飲料の自動販売機が設置されています。

わ99形「トロッコわたらせ渓谷号」
わ99形「トロッコわたらせ渓谷号」
わ99形「トロッコわたらせ渓谷号」
わ99形「トロッコわたらせ渓谷号」
普段は見ることのない5010号の桐生方妻面
普段は見ることのない5010号の桐生方妻面
5020号のサイドビュー
5020号のサイドビュー
5070号の桐生方妻面 (窓のシートは留置用のもの)
5070号の桐生方妻面 (窓のシートは留置用のもの)
5080号のサイドビュー
5080号のサイドビュー
5010号の車内 5080号も同様
5010号の車内 5080号も同様
5070号の車内 5020号も同様
5070号の車内 5020号も同様
5020・ 5070号の天井に設置されたイルミネーション
5020・ 5070号の天井に設置されたイルミネーション

諸元表

通勤車
形式 車号 愛称 登録日 定員(座席) 座席タイプ 便所 全長 空車重量 機関 出力
わ89-310 313 わたらせⅡ 1990/03/16 102 (48) セミクロス 和式 16,500mm 26.5t PE6HT 250馬力
314 あかがねⅢ 1993/04/25 102 (48) セミクロス 和式 16,500mm 26.5t PE6HT 250馬力
WKT-500 501 けさまる 2011/02/04 119 (50) ロング - 18,500mm 32.0t DMF13HZ 330馬力
502 わたらせ 2015/03/10 119 (50) ロング - 18,500mm 32.0t DMF13HZ 330馬力
WKT-510 511 あかがね 2013/03/05 117 (52) セミクロス - 18,500mm 32.2t DMF13HZ 330馬力
512 たかつど 2016/11/25 117 (52) セミクロス - 18,500mm 32.2t DMF13HZ 330馬力
WKT-520 521 あづま 2019/01/21 106 (46) クロス 洋式 18,500mm 32.2t DMF13HZ 330馬力
522 こうしん 2021/04/28 106 (46) クロス 洋式 18,500mm 32.2t DMF13HZ 330馬力
トロッコ車
形式 車号 愛称 登録日 定員(座席) 座席タイプ 便所 全長 空車重量 機関 出力
WKT-550 551 わっしー 2012/03/07 52 (52) クロス 洋式 18,500mm 32.6t DMF13HZ 330馬力
わ99 5010 かわせみ 1998/09/24 80 (80) クロス 和式 (使用休止) 21,300mm 34.1t DMF15HZ-G (使用休止) -
5020 かわせみ 1998/09/24 91 (91) クロス - 18,000mm 15.0t - -
5070 やませみ 1998/09/24 94 (94) クロス - 18,000mm 15.0t - -
5080 やませみ 1998/09/24 80 (80) クロス 和式 21,300mm 34.1t DMF15HZ-G 270馬力
機関車
形式 車号 愛称 登録日 定員(座席) 座席タイプ 便所 全長 空車重量 機関 出力
DE10 1537 - 1998/09/24 - - - 14,150mm 65.0t DML61ZB-1 1,350馬力
1678 - 2000/03/06 - - - 14,150mm 65.0t DML61ZB-1 1,350馬力
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